SATIAN/39 -廃墟の影片-

廃墟/旧ソ連/未承認国家/国内外の”世界の果て”へ。ヒトノココロノスキマをキリトル写真ブログ。

栄華は水煙と成りて 6

人間は、どうしても、どう足掻いても解決出来ない大きく重たく、苦しい問題を3つ以上抱えた時、死への一歩を踏み出すと云う。ヨヲコが何を考え、何を思い、生き死んだのかは、今の僕には分からない。「ねぇ、もしも、ヨヲコが僕の事を嫌いにならなかったら、来年もここに来よう。一緒に海の見える場所へ行こう」「ねぇ、ロク君」「わたし」「”もしも”の未来なんて、いらない」終幕...

2012
13

栄華は水煙と成りて 5

「だいじょうぶよ、ヒトって、自分で死ぬって言っているうちは絶対に死なないから」見透かしたように、ヨヲコはわらう。彼女の微笑みはいつも、年端もいかぬ少女に似つかわしく無い、白濁した眼球でとても遠くを見るような、何処か鬱屈したような冷たい微笑みだった。だけどそれが、堪らなく美しかった。ああ、確かに、そうだったよ。「そっか」その言葉に、安心しきっていた己を悔やむのはそう、遠くなかった。続。...

2012
12

栄華は水煙と成りて 4

そしてヨヲコはもの言わぬ貝となる。ゆるやかな時間、心地よい時間に、唐突に訪れる波紋ひとつ立てぬ静かな不安一抹のそれが重ね積もり続けた結末は、訪れる時が来ない限り誰も分からない。続。...

2012
10

栄華は水煙と成りて 3

「海の側なら、きっと寂しくないでしょう」眈々とヨヲコの横顔は続ける「届かなくても、届いているのよ」「わからないよ」「いいの」「ごめん」「ねぇ、ロク君」「ごめんなさいって、とっても、残酷な言葉よね。あなたの中では終わっているけれど、わたしの中では終わっていないもの」「なんでもない。ごめんなさい」一瞬、過ったのは、「ねぇ、ペンギン、見に行こ。わたし、一番好きなの、実は」気のせいではなかった事に、気がつ...

2012
09

栄華は水煙と成りて 2

「ねぇ、ロク君。人ってね、自殺したら、何処に行くと思う?」「何処?…天国?」「んーん。何処にも何処にも、行けないのよ」いつからヨヲコは、こんな喋り方をするようになったのか。いつから、こんなにもか細く、掻き消えてしまいそうな鈴鞠のように、小さく、小さくなってしまったのか。「何処にも行けないの」「縛られちゃうんだって」「何に」「神様に」「神様が、その場所から離れる事を許してくれないんだった。離してくれ...

2012
08

栄華は水煙と成りて 1

「わたし、死ぬなら海の見える場所がいいの」水槽揺らぐ空ろな魚を見ているような見ていないような抑揚の無い表情で、だけど眸だけは躙り輝き、じっと見入るヨヲコは言いました。「どうして」「全てだからよ」だけど君が死んだのは、悲しい枯れ果てた、彼方の荒野だったのです。続。...

2012
07