Чорнобиль нуль -チェルノブイリ 0- Передмова 緒言
2013
26
廃墟を撮り出した頃、そこはいつか行きたい「廃墟の聖地」だと思っていた。
何も考えず、ただただに、ぼんやりと。
時は流れ2011年3月11日。
その日から、そこは自分の中で廃墟の聖地とは言い難い地となった。
心の中に引っかかるのはいつも故郷の事だった。
様々な複雑な想いが交錯する。
でも、それでも行こう、と。
そう思った。

チェルノブイリ。
ウクライナの首都キエフの北方、キエフ州に位置する。
1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故により、放射性物質に汚染されゴーストタウンと化した為殆どの住民は事故後、他所に避難した。
後に少数の住民が余生をチェルノブイリで過ごすことを望み戻った為完全に無人にはなっていない。自ら立ち入り禁止区域に戻って行った人々(日本ではサマショールと表記されるが、実際はサマショーロと発音するのが正しいらしい)現在約100名程いると云う。

プリピアチの街、16階建高層ビルの屋上からこの景色を俯瞰する時、言い知れぬ不安と果てしない絶望が風のように駆け抜ける、足下が脆く崩れ去る感覚を覚える。
「何も終わってなどいない」
と。

[ 続 ]



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