望郷
2014
02
からっからに吹き下ろす吾妻おろしを真っ正面から受け、延々続く坂道をチャリンコ立ち漕ぎで数十分。
そんな単調な毎日だった。




人撮りのご依頼を受けた。
がっつりポートレート等そう載せた事もないのに、何も見ず直感でそのようなご依頼を頂ける等、とても恐れ多く、有り難い。
生きている人間を、自発的にこう、なんていうか、撮影してこなかったのは。
初めて撮影をお願いされた人間が、死体だったから、なのかもしれない。
自分にとって死とは、そのまま主軸になってしまったもの、だ。
震える手にカメラを持たされ、目を逸らすも「いいから見ろ!」怒鳴られ、弱気を振り払った。
嗚呼、そうだよ逃げる事なら誰にだって出来るんだ。
ただぽっかりと、忘れ去られ見向きもされない建造物。
草は定期的に苅られているものの何に使うているのか分からない高地。
見上げれば首が痛くなる程高く青く澄み渡る空。




帰りたいけど、帰りたくない。





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