SATIAN/39 -廃墟の影片-

廃墟/旧ソ連/未承認国家/国内外の”世界の果て”へ。ヒトノココロノスキマをキリトル頽廃放浪記。

沈みゆく

2007
14
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3月の21日。
旅に出て、6日目。
大阪の江坂に行った。
とっくに忘れたつもりだった。情も想いもとうに消えた筈なのに。忘れようとすればする程、いつも想い出が邪魔をする。どうして何時も、想い出ばかりが鮮やかで美しいのだろう。


遠距離恋愛をしていた2年前。あいつは江坂に住んでいた。
通い続けた約1年間。
今となっては懐かしいマンション。アンパンの美味しいパン屋さん。やたらと付近に乱立するローソン。しっくりとくる雰囲気の良いオムライスのお店。具材の斬新さに驚いたおでん屋さん。
何か劇的な変化を期待していたのだろう。だけど、何も変わっていなかった。2年前のあの日と何も変わらない街並み。変わってしまったのは、アタイ達だけ。
ずっと胸の奥に突っかかった何かも分からない自分自身への問いかけの答えを、探しに来たつもりだった。
でも、最初からそんなものはなかったんだ。
長い長い白昼夢の中を、出る事が出来た筈なのに自分から出ようとしていなかった。まどろみ続けていたかったんだ。溺れていたかったんだ。
失ったものは2度と元には戻らない。
あの日、わざと嘘をついた。残酷な嘘を。迷宮に閉じ込められてしまえばいいと思った。大嫌いに、なりたかった。
さようなら。
もう2度と、行かないだろう。
ごめんなさいなんて、2度と言わないから。
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