謎の未承認国家・ナゴルノ・カラバフ(アルツァフ共和国)
2016
24
死ぬ前にどうしても行きたい場所があった。(いくつあるんだというツッコミはさておき)
ナゴルノ・カラバフ共和国。別名アルツァフ共和国。
南カフカースのナゴルノ・カラバフに位置する事実上独立した国家。西でアルメニア、北と東でアゼルバイジャン、そして南はイランに隣接する。アブハジア、南オセチア、沿ドニエストル以外に独立を承認している国はない、“未承認国家”だ。

その日は酷いブリザードに見舞われた。
余りの猛吹雪に途中二時間立ち往生。
除雪車が前を行くも途中転倒。絶望的な光景だった。沢山の車が途中乗り捨てられていた。
それらを横目に、1メートル先もまともに見えない猛吹雪の山道を、ぎゅうぎゅう詰めもいいところ限界まで人が乗せられたバス…と言う名のバンで走る。
幾つもの山を越え、谷を越え、山を越え、谷を越え、山を越え…

やっとの事辿り着いたのはゴリスという街。空こそ晴れたが相変わらず吹雪いている。

ここで最後の長い休憩を取った。
おっさんばっかりの賑やかな御一行に構って貰った。
この吹雪で車が壊れちゃったけど、彼は優秀な技術者だから大丈夫さ!と。
優秀な技術者さん、めっちゃ、ケツ、見えてますよ。

皆が撮れ撮れー!と悪ノリするので、自分も悪ノリしておっさんのもっしゃりした尻の割れ目を撮りまくってしまった(笑
おっさん、ちょっと恥ずかしそうにズボンをあげたけど、すぐにずり落ちていた。
美味しいアップルパイを沢山くれた。ありがとう。

ゴリスからまた、2、3時間程車を走らせる。
途中検問でパスポートを提出し、必ず首都・ステパナケルトでビザを取るように念を押される。
ステパナケルトに着く頃には、外は真っ暗になっていた。
バスに同乗していた青年が、ホテルを探してくれたのでそこに泊まる事にした。物腰柔らかく優しそうな青年だったが、その手は紛れもない“戦う男”の手であった。

通された部屋は、一人旅には余りに広い、4人+ベビーベッド付き部屋。

トイレ・バスは一緒。それはいいのだが……

シャワーヘッドがない…(笑
なんというか、旧ソ連式の洗礼をちょっぴり受けた気持ちになった。
部屋は小さな暖房ひとつ、寒過ぎるので追加して貰ったがそれでも寒い。
外はマイナス10度位か…
なのにシャワーはまともにお湯が出ず。途中水シャワー。寒い、寒過ぎる、歯がガチガチと鳴った。
近くにレストランも見当たらなかったので、貰い物のパンと果物とナッツ類、スーパーで買ったヨーグルトで質素に夕飯を済ませる。
眠る時もダウンを羽織った侭ベッドに入った。
しかし朝起き、外で見た景色は。

美しい。
綺麗に青空が見えている。
山に囲まれ、外部と隔絶された未承認自治国。
そこで私は、嘗て無い経験をする事になった。
自分の中の見えない何かが、もしかしたら変わったかもしれない。
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