판문점 -軍事境界線、板門店-
朝鮮半島中間部に位置する朝鮮戦争停戦のための軍事境界線上に存在する、板門店。
60年以上に渡る朝鮮の南北分断の象徴。

板門店は、ソウルの北約80km、平壌の南約215kmに位置する。
朝鮮戦争の停戦ラインである軍事境界線(DMZ-DeMilitarized Zone又は非武装区域とも言われる)上にあり、周囲は南北両国の共同警備区域となっている。
韓国軍を中心とした「国連軍」と朝鮮人民軍が境界線を隔てて顔を合わせ警備にあたっているのだが、北朝鮮軍と直接顔を合わす場所に配置された韓国軍兵士のみサングラスを着用している。北朝鮮軍兵士から表情を読み取られない為、そして顔の判別をされないようにする為だ。

板門店周辺の警備に配属される兵士には条件がある。
他の国連軍兵士や北朝鮮軍兵士に見劣りしないように身長が175cm以上であること。
国連軍兵士と対等に会話ができる英語力を持っていること。
両親がきちんと健在であること。(片親だと精神疾患を抱える恐れがあると判断されているという)
他…厳しい条件をクリアしたエリートのみ配属される。

軍事停戦委員会本会議場内は時間制限のもと見学が出来、写真を撮る事も出来る。
本会議場は板門店の中心にあり、この中では国境を越えてもよい事になっている。
場内を警備する韓国軍兵士は撮影自由。
微動だにしない彼の隣で自由に撮影する事が出来る。

エリートと言えども。
この仕事はある意味つらそうだ。
何があっても無表情、微動だにせず仁王立をしたまま3時間。
3時間もこの体制なのだ。(お腹痛くなったらどうするんだろう…)
動物園のパンダ宜しく珍獣をスマホで撮影するような。無慈悲な私も一眼で遠慮なく撮影しているわけだが。

ベルリンの壁が崩壊したのちにドイツ再統一が成った1990年以降現在に至り、世界で唯一の「冷戦の最前線」。
ガイドの説明は些か北朝鮮に対し批判的なものが多い。(自分でも言っていた)しかし北朝鮮側からの観光をすると、ガイドは韓国の事を「アメリカに騙された可哀想な国」と同情的な説明をするのだという。
北朝鮮側の板門閣を見据え、なんとも言えぬ珍妙な気持ちを抱えたまま板門店を後にした。





「緊急事態が起これば死亡、負傷する恐れがあるが、自己責任を承知の元訪問する」と書かれた国連軍の用意した誓約書への署名は、見学後貰う事が出来る。
記念撮影の写真と共に購入した板門店見学限定の冊子の間にそれを挟む。
手軽に気軽に見学してきたけれども、改めて、凄いところを見てきたのだろうな、きっと。
昼食はプルコギ。ニンニクが強烈で腹に溜まった。
TRANSIT(トランジット)42号 韓国・北朝鮮 近くて遠い国へ (講談社 Mook(J))