花月園競輪場跡
2016
19
華の匂いも忘れた頃に。





天のお皿に空を落としたような。






今からでもすぐに、現役のトラックとして自転車を走らせられそうな。
夜中、綺麗でだだっ広い其処で、ロクに見えもしない都会の星空を眺めた。
生暖かい空気の初夏の匂いを感じながら、一晩中寝っころがり金平糖の数を数えた。
「前に君が”都会の真空地帯”って言ったけど、まさに、こういう事を言うのかな」








中学時代の同級生が「ここ、好きだと思うよ」そう教えてくれた廃墟だった。
彼もその頃よく散歩していたらしい。
大切な場所だからこそ、表に出していなかった写真。
解体が決定してからは、あっという間だったかもしれない。
其処に在り続けるのが当たり前だったのに、有限の日常はふと消え去る。(まだ、工事は続いているけれど)
廃墟へ行く者、愛好家の多くの誰もが「秘密基地を探索する。」少年の冒険心を心に宿している。
一コンテンツ、として成り立たせようと動く者もの、「皆んなに」を声を大にしている者ものは、そのコンテンツを食い尽くした人間が多いように見える。
「廃墟を撮るだけ」の人間が強く批判されるような風潮も、一時期一部のマニアの間であったような気がする。
「繋げる事の重要性」をあれだけ説いていたけど、結果的にそれは、どんな過程と結果をもたらしたであろうか。
秘密基地、は、もう日本では存在永らえないファンタジーとなる。そんな日も遠くないかもしれない。
残し方。
誰もが幸せになる結末って、然う然う有る事ではないのだろうな。勿論一般論や法律から「一番のマスト。」「其れが妥当な当然。」と云うものは有るけれど。
「当事者。」であるか「部外者。」によってもまた話が変わってくる。
あゝ又、良く無い癖だ、犬が己の尻尾を追いかけ回すように同じ處をぐるぐる回ってしまう。
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