第三軍需支援司令部線 - 仁川に静かに佇む軍用線・富平線 -
地下鉄1号線と仁川地下鉄1号線の二路線が交わる富平駅(プピョン駅)から、今は殆ど使われていない軍用線がのびている。

第三軍需支援司令部線。通称・富平線。
最初見た時は廃線かな、と思ったけど、月に1、2回は電車が通るらしい。

1938年に作られた日本陸軍の造兵廠が嘗てここにあった。
1945年以降は米軍部隊が駐留したが、1970年代ソウルの龍山(ヨンサン)への移転に伴い土地は韓国へ返還。
現在韓国の軍施設として使用されているが殆ど機能していないらしい。誰かが基地内を歩いているのは目視したが、何をしているかまでは分からなかった。

基地内に、日帝残滓の痕跡が残っていないか気になるところだ。
富平は前に記載した三菱列社宅、日本統治時代の痕跡も残っている。


この辺りは土壌が汚染されているらしく、畑には向いていないらしい。
この時、季節は夏。8月、お盆。
韓国は猛烈な熱気、猛烈な湿気、照りつける太陽はジリジリと肌を焦がした。
絶え間なく流れる汗。アスファルトの上はまるで焼肉屋の鉄板だ。このままでは人間サムギョプサルになってしまう…と思いつつも、街探検の楽しさには変えられない。



約3km程の線路が住宅地と軍事施設の間を通っていく。


そして終着。

近くて遠い、別世界のように感じる。

一般民間人が歩けるのは、ここまでだ。

韓国でも、こんな場所が残っているものなんだな…
去年の夏、一番近いその外国へ、初めて行った。
お前が行きたいような場所はないと散々聞いていたけど、思いの外新鮮な発見がある事に驚いた。
まだまだ、この国を探検したい。



TRANSIT(トランジット)42号 韓国・北朝鮮 近くて遠い国へ (講談社 Mook(J))