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SATIAN/39 -頽廃放浪記-

廃墟/旧共産圏/未承認国家/国内外の”世界の果て”へ。ヒトノココロノスキマをキリトル頽廃放浪記。

生けるソ連・沿ドニエストル共和国 - The country where the Soviet Union lives Transnistria -

2017
07



旧ソ連圏に存在する未承認国家というものに、惹かれて止まない。
そのひとつ、沿ドニエストル共和国
飛行機でモルドバに降り立ちまずは主都キシナウへと向かう。
私がロシア語を喋っただけでタクシーの運転手は爆笑していた。
「英語喋れる人のところに連れて行こうかと思ったのになんだ分かってるじゃん!」
いやごめん、そんなに分かってはいないんだ。
そして到着するなり即、バスへと乗り込む。
沿ドニエストル共和国の主都・ティラスポリを目指して。



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駅から宿泊先までは歩いて行けそうだったので、ぽくぽくと散歩しながら行く事にした。
人気はないがのどかだ。
他の観光客たちは皆日帰りらしい。
モルドバ正教会の可愛い教会を横目に(あとで撮ろう…)と思い上がら歩みを進める。
程なくして宿へと到着するも、そこは旧ソ連式の古いアパートだった。
その一室を宿として利用している。
2LDKの広々としたアパートを独り占め。洗濯機もキッチンも完備している。
ドニエストルに宿泊するには、領事館にて手続きが必要だ。まずはそちらを済ませそしてレストランで食事を摂る事に。



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ルーマニア料理のママリガだ。
モルドバ料理、ドニエストル料理はルーマニア、ロシア、ウクライナに似たものが多い。



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バターがじゅわり。
スメタナとチーズをお好みで付けて食べる。あまりに美味しい!



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キノコとチキンのクリームつぼ焼き。こちらもとても美味しかった。
リーズナブルな値段で満足感が尋常じゃない。
ソ連圏の料理も悉く好きだ。
というか、食で不味いと思った国は今の所ないかもしれない。



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ドニエストルの旅。
そこに特に目的はなかった。ただ、『生けるソ連』として存在し続ける未承認国家の姿をこの目で見たい。
それだけだった。
思った以上にそこは平和で、街は整っていた。スーパーマーケットが人口の割には多すぎるような気がする。
そして変なドニエストル人に出会った。



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「あなたは日本人ですか?」
彼は聞いてきた。
こんな辺境の地で日本語で話しかけられるなんて。
ネットで様々な国の人と仕事をしているうちに日本にも興味を持ち、言葉を勉強したと言っていた。
各国の言葉を絶妙に奇妙に怪しい感じで喋るこの男性と30分程散歩をし、ドニエストル川を見つめた。



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ウクライナとモルドバ共和国の国境を形成しながら黒海へと注ぐ河川。
ドニエストルという川の名はサルマタイの言葉で「近くの川」を意味している。
まぁ…何の変哲もない、平和な川だ。あと1ヶ月もすれば皆んな水浴びをしに遊びに来るよと言っていた。



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未承認国家。というと、不穏な響に聞こえるかもしれない。
連想するは停戦地帯。紛争地帯。終わらない戦争。実効支配。
ドニエストルは国際的にはモルドバ共和国の一部とみなされており、主権国家として承認されていない。
しかし現在モルドバ共和国政府の実効統治は及んでおらず事実上の独立状態にある。
国の規模の割には軍人も多い。
しかし、拍子抜けする程平和だ。
ひったくりに気をつけろと散々言われたアブハジアやナゴルノ・カラバフよりもきっとずっと。
(そういえばアブハジアでは軍の弾薬庫での爆発事故があったな…地元の保健当局は、ロシア人35人を含む60人が負傷したとしているらしい。その直後プーチンがアブハジアを訪れ「重要なパートナーであり、ロシアの同盟国だ」と明言。実効支配を誇示している…。きな臭くなっているな)



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可愛い花嫁さんと花婿さんを祝福し、道行く人々は口笛を鳴らし車のクラクションを鳴らし。
他にも新婚さんが車で爆走しながら街を馳け廻る様子も見られた。総じてテンションが高かった。



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小さく可愛らしい教会の前に、戦車がある。
ドニエストルの内戦(トランスニストリア戦争)の時のものではなく、第二次世界大戦の対独戦勝記念の戦車らしい。
すぐ近くにあるのは内戦に関する記念像なのだが。



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『彼らに祖国を!』



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8 Comments

ケイ  

沿ドニエストル共和国での宿泊について

はじめまして

記事と写真、興味深く拝見させて頂きました。
表題の件です。ロシアからモルドバ経由で沿ドニエストルに入り宿泊したいのですが、必要な手続きはどのようなものなのでしょうか。
モルドバから入る際の具体的手続きをお教え頂けたらと思います。
よろしくお願いします。

2019/01/13 (Sun) 12:09 | EDIT | REPLY |   

星野 藍  

ケイさんへ

初めまして、こんにちは。ブログ拝見ありがとうございます。
沿ドニエストルへ行かれるとの事、楽しんできてくださいませ。
入国は、国境でパスポートチェックをするくらいで特別な事はありませんでした。
宿泊の際必要な手続きは、ホテルの管理者の方が全てやってくださいました。
ホテル到着後一緒に役所へ行き手続きをしたので、自分から何かするというのは
ありませんでした。
一応宿泊先の管理者の方に聞いてみるといいかな、と思います。
沿ドニエストルには何故か日本語が少し出来る人がいましたが、
後々エロ動画ばかりを送りつけてくるようになったのでどうしたもんかなぁ…
と珍妙な気持ちになりました。。

2019/01/17 (Thu) 19:23 | EDIT | REPLY |   

ケイ  

ご返事ありがとうございます

実際に行った方の情報、ほんとうに頼りになります。ありがとうございます。
とりあえず宿には事前に尋ねてみることとします。
中学の頃から旧ソ連に憧れて十有幾星霜、今はこうして先達のお話を見聞きすることもでき、便利な世の中だと感心しております。
旅先では不便も多いと思いますが楽しんできます。
日本語のできる外国人には気をつけます!

2019/01/25 (Fri) 22:29 | EDIT | REPLY |   

星野 藍  

ケイさんへ

こんにちは。
中学の頃から!早熟ですね。私は旧ソ連への憧れは18歳頃に抱きました。
ドニエストル、スーパーマーケットの上にあるレストランがとても美味しかったです(といってもスーパーマーケットたくさんありますが…)モルドバもドニエストルもご飯美味しいですよ。
ドニエストルルーブルは外では紙くずになるので使い切るようにしてくださいね。
いってらっしゃいませ!

2019/01/30 (Wed) 16:31 | EDIT | REPLY |   

ケイ  

行ってまいりました

お久しぶりです。

沿ドニエストルはティラスポリ、行ってきました。お教え頂いた通り、入国では特別なことはなく、すんなり通過。役所での登録等は必要ないらしく、宿に到着してからも特にすることはありませんでした。
私は日本語のできるドニエストル人には出くわしませんでしたが、日本文化に造詣の深い大学生カップルと出会い、お宅に招かれて夜ご飯をご馳走になりました。家庭料理ですがどれもおいしかった!し、お互いの国のことや将来について語り明かしました。
時間がゆっくり流れているように感じた国で、若者との交流も持てて感激でした。
確かにスーパー多かったですね。
また、現地の皆さんは少しシャイ(東洋人に慣れてないだけ?)だけど親切で、いろいろと助けられました。

情報を頂けていてとても心強かったです。
本当にありがとうございました。

2019/06/16 (Sun) 00:30 | EDIT | REPLY |   

星野  

To ケイさん

こんにちは、お久しぶりです。
無事に行けたようでよかったです!
役所での登録必要なくなったんですね、素晴らしい。そして良い出会いがありましたね。日本文化に造詣が深い方たちがあんなにも遠い国にいる事が嬉しいです。
ケイさんは何処かにお写真載せたりしていますか?もしも載せていたら拝見したいです。
こちらこそ、報告ありがとうございました。またいい旅をしにお出かけしてくださいね。

2019/06/19 (Wed) 13:46 | EDIT | REPLY |   

ケイ  

御無沙汰しております

全然お返事しなくてすみません

登録は必要なくて、スタンプの代わりに紙切れを渡させる以外は普通の国に入るのと変わりませんでした
すごくなまった英語を話す若い兵隊さんが応対してくれて、滞りなく入国しました


写真ですが、実は現在大阪で展示をやっておりまして、沿ドニの写真はわずかなのですが、出しております
こちらのURLです
https://riviere-g.urdarkroom.com/plan.php
(キービジュアルはモスクワですが笑)
宣伝失礼しました


星野さんの情報でここまで来れましたことに感謝しております
10月の再訪は台風でやられましたが、来春また訪れる予定です
その折はまたご報告させていただきます

2019/12/29 (Sun) 22:22 | EDIT | REPLY |   

星野 藍  

ケイさんへ

いえいえ大丈夫ですよ、ありがとうございます。
写真展やっていたんですね、見てみたかったです。
台風の時は大変でしたよね…自分もいくつも予定が潰れました。
是非また沿ドニエストルに行ってください、楽しみにしております。

2020/01/13 (Mon) 20:42 | EDIT | REPLY |   

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