世界一安全な停戦地帯・キプロス共和国 - The safest cease-fire area in the world, Cyprus -
2018
02
キプロス島。
南部のギリシャ系住民が支配する地域・南キプロスと、分離独立を求めている北部のトルコ系住民が支配する地域・北キプロスに分断する、東地中海のシリア・アナトリア半島の沿岸にある島。
南キプロスと北キプロスとの衝突を抑止する為1974年に国連が引いた緩衝地帯(非武装地帯、停戦ライン)…通称グリーンラインが存在する。
グリーンライン…有刺鉄線のその先は砂漠だったり、誰もいなくなった住宅だったりと様々だ。

トルコが実効支配に置く北キプロスから、ギリシャ系の南キプロスへ。
首都ニコシアから、首都ニコシアへ。
首都が南北で分断されている国など世界中探してもキプロスくらいだろう。

クロスポイントでは、両国共にパスポートの確認がある。
が、ここでスタンプが押される事はない。
驚くほど簡単に、あっけなく、いってらっしゃ〜いと言うかのように送り出してくれる。
「ここで写真を撮るのは危ないから控えなさい。」
と言ってくださったのは、北キプロスへ抜ける南キプロス人のおじさん。
ご最もではあるかもしれない。

そして南キプロスへ。

北キプロスに比べ、建物の状態が良い場所が多く、豊かさを感じる。

キプロス内に存在する3つのクロスポイントのうちのひとつ、観光の中心となる旧市街に出るものだ。
なんだ普通じゃないか、と思っていたら。


積み上げられ、ギリシャの国旗の色に染められたドラム缶、有刺鉄線。
この先がグリーンライン、非武装地帯だ。
どちらの国のものでもない誰もいない土地。

両国共、グリーンライン沿には自国の旗を、隣国に主張するかのように掲げている。
静かな戦い、そのような印象を受ける。
辺りは静まり返り人通りも少ない。

しかしグリーンライン沿は、旧市街の中心部から離れていくとそれにつれ廃墟となった建物がどんどん多くなっていく。


廃墟をリノベーションしたかのようなおしゃれなカフェやバー、雑貨屋、家具屋、本屋などもある。
バーは夜から営業のところが殆どなので、昼間の装いは廃墟とそう変わらないかもしれない。



分断された首都。自由に行き来する人々。
南と北、ギリシャ系とトルコ系、人種違えど彼らは会えば普通に言葉を交わす。(少なくても、私が見た範囲内では)
しかし2017年7月7日、約半年に及ぶ南北統一交渉は決裂した。
ギリシャをはじめEU、米国などではトルコ軍の撤退に北キプロスが難色を示したことを強調し、トルコの干渉の意図を非難する論調が目立つ。
これに対し、北キプロスメディアではトルコ軍駐留は不可欠という主張が一般的で、トルコ外相もギリシャの非生産的な態度を批判する事態に発展している。
南北分断したままキプロスはEUに加盟している。
孕んだ矛盾は時と共に膨れ上がっていく。
2008年から開発が始まったキプロス島南方の排他的経済水域での海底ガス田開発も、キプロス問題の複雑化に拍車を掛けているだろう。
キプロス南北統一の夜明けが来る日は、果たしてやってくるのだろうか。

スポンサーサイト