世界一安全な停戦地帯・キプロス共和国 2 - The safest cease-fire area in the world, Cyprus -
2018
05
北キプロスから南キプロスへ。
そしてまた北キプロスへ。
両国の国境は、1日に何度でも越える事が出来る。
一組、外国人観光客が何やら揉めていて南から北への出国を拒否されていた。パスポートを見ながら揉めていたようだが。

北キプロスは南キプロスに比べ観光客が少ない、と何かで読んだが、少なくてもクロスポイントの辺りは人通りが多く賑わいを持っていたと思う。

…が、一本裏通りを入っていけば、ここが停戦地帯のど真ん中であるという現実を再認識させられるものがある。
廃墟化したダンスホールに、何故か一つだけぽつんと残された椅子。

廃墟のように見えるが、しっかりと人の営みのある住宅。
北キプロスの方が、南キプロスに比べ全体的に煤けている。

グリーンラインを塞ぐ壁に貼られた、赤い警告。
トルコ軍のものだ。
カルスの街の軍事基地付近でも、アルメニアの国境沿いにあるアニ遺跡でも同じものを見かけた。




一瞬グリーンライン内にある廃教会か?…と思ったが違った。
南キプロス側に存在する現役の教会。
北キプロスはトルコ系、すなわちイスラム教。
南キプロスはギリシャ系、すなわちキリスト教。
南キプロスではクリスマスだが、北キプロスでは関係ない、ただの平日。
そう、私はクリスマスを未承認国家…北キプロスそしてグリーンラインで過ごす事が夢だったのだ。

ゴーン、ゴーンと高らかな教会の鐘の音が鳴る。
その音は北キプロスまで響き渡る。
はたまた北キプロスにあるモスクからは、コーランが。ボワワワワーンとした音は南キプロスまで響き渡る。
グリーンライン付近にいると、2つの宗教の足音を同時に感じ取る事が出来る。こんなの初めてだ。

北キプロスの、高台にある公園から見える、南キプロスの日常風景。
こんなにも近いのに、手に届きそうで届かない、見えない境界線。
南キプロスの景色を眺めながら、北キプロスのマダムたちは井戸端会議に一生懸命だった。

歩いているとすっかり暑く、汗ばんでしまう。
ジェラードを食べて一休み。3スクープ4ユーロ。
水色のジェラードは、エンジェルブルーというブレーバーだった。
優しい甘さが癖になる。また、食べに行きたい。

北キプロスの停戦地帯沿いをふらふら徘徊、可愛い猫たちに出会いにこやかな気持ちになっていると、おじさんがコーヒー飲んでいきなと声をかけてくれた。

おじさんは今は水とコーヒーを売る仕事をしているらしい。
トルコで戦争があった事をきっかけに、キプロス島へ移住したそうだ。

濃厚で美味しいトルココーヒー。


アンバランスので中バランスを取り存在し続ける、矛盾を孕みながらもそれでも回り続ける世界。
コーカサスを旅してからそんな不思議な世界の魅力に取り憑かれ、肌で感じる美しき矛盾をただただに求め、今日も旅を続けるのだ。



北キプロスの食文化は、トルコと同じようなものだった。

レストランで前菜として出されたもりもりのグリーンチリは、サラダの如く平然と出してくるものだから辛くはないんだろうな?と思ったらしっかり辛かった。ヒーッ。

ケバブに付けるヨーグルトソースと、トマトチリソース。
これだけで十分に美味しい。パンで拭って食べ尽くしてしまいたい。

薄焼きのパンの下に、ケバブが隠れている。
ポテトと生野菜もたっぷり。幸せな晩御飯だった。

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