ソビエト時代のガラス工場の廃墟 - The Abandoned Soviet-Era Glass Factory -
2018
27
バルカン山脈の山間にある、静かで小さな田舎町。
全盛期には、500人は労働者たちが勤労していたこの地域も、今は過疎化が進み恐ろしく閑散としている。
山間から山間へ、バルカン山脈の移動はなかなか骨が折れる。

解体途中のガラス工場の廃墟は、ソビエト時代に建造されたものだ。
破壊されたガラス瓶の破片が山のように積み重ねられている。

廃工場の中から、男たちの声が聞こえた。
挨拶と許可を伺うと、快い返事。
こういった状況は、その時の相手によって状況が異なってくる事が多いかもしれない。
何故なら現在この工場を保有している民間企業は組織的犯罪を行っているという噂があるのだ。
武装した警備員がいるという話もあったが…。

解体途中の巨大な煉瓦造りの炉。
ガラスを熱する為、使用する時は1500度を超える。
ガラスの事は余り知らないが、黄色い硫黄のような結晶が随所で見られたのはその為だろうか。

工場の内部は恐ろしく広い。敷地も広い。
ここだけではなく敷地内には複数の工場、そして倉庫、事務所、食堂、爆弾シェルター…様々な施設が残っている。

緑色のガラス瓶。深みのある普遍的な色が美しい。

ガラス製造工程で使用された砂は、ブルガリアの黒海のビーチから採取され電車でこの工場まで運ばれた。
ソビエト体制の下、列車は時間の無駄がなく効率的に運営されており、メイン倉庫内の全ての道を走っていた。
鉄道路線は1975年に建設されたが、わずか14年後には崩壊した。
1991年、ソビエト崩壊に至るまで、多くの衛星国が先行して喪失していった。
ブルガリアの共産主義が1990年に終わりを迎えたとき、国家が資金を提供する多くの産業が潰えていった。この工場も、それに漏れず荒廃の一途を辿った。


工場内部の一部は苔の絨毯のようになっていた。
ふわふわ、ふかふかの緑色の絨毯。
コーン、コーンと煉瓦を砕く音が響く。
男たちの快活な笑い声。

夕暮れが近づく、余り遅くならないうちに工場を出よう。
街灯皆無の真っ暗闇の山道を何十キロも走るのは、流石に心が折れそうになる。寧ろ折れても走らなくてはならない。

青く澄み渡る冬の低い空。
しかし外気は意外なほど暖かだった。
季節外れの小春日が暫く続いた。
雨が降るその日がトラブルが雨のように降りかかる厄日になろうとは、この時は思いもしなかった。
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