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SATIAN/39 -頽廃放浪記-

廃墟/旧共産圏/未承認国家/国内外の”世界の果て”へ。ヒトノココロノスキマをキリトル頽廃放浪記。

地元の廃病院 - An Abandoned Clinic in My Home Town -

2018
22



私の出身地は、小さな街だ。
と言うと福島県内だとそんな事ないでしょ、と言われる時もある。
県庁所在地ではあるが、何もない。本当に吃驚する程何もない。
何もないけど、何もある。
そうは信じたいものの、どうにも目を瞑りたくなる現実の方が多い気がしなくもない。



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廃病院からは、福島市のシンボル信夫山が見えた。
私の通学路だった。
物心付く前より馴染みしかない場所。
いつ、何処で、何が、どう変わっていくのか。
明日は常々見えないものだ。
見えると過信する者程、手に届く範囲の物や事が見えていない。



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廃病院からほど近い坂道で、交通事故に二度遭った。
三度だったかもしれない。
更に進んで行くと鉄道関連の施設が遺棄されたままとなっており、線路も遺棄され草木が生え放題になっていた。
いつも横目に、憧れていた。
今はそこも、味気も色気もない新興住宅地。
勿論悪い事ではない。



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福島市の日常は、フレコンバッグと共にある。
その違和感に声を上げる者は、私の知る限り市内にはいない。
ただの日常、変わらぬ日常、過ぎ去るだけの日常。
何年も放置されている廃病院と変わらない。
声を上げれば「風評被害」内地からでも飛んでくる。
その現実に項垂れる。
「原発には触れないように『元気な写真展をやって欲しい』」
というような何処ぞの声のようなものが数ある正義という、現実。



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廃病院は綺麗さっぱり、なくなってしまった。
廃病院があろうとも、なくなろうとも、これと言って何が変わるわけではないだろう。



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嘘は甘いがすぐ湿気る。
湿気った甘味をしゃぶり尽くしながら、この街は在り続ける。



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2 Comments

Say Ogata  

壊されちゃいましたね

特異なモノは風評じゃないのか?と何処となく敏感で
遺物は即刻排除的な空気が この街に流れています

無くなれば無いで何も無かったように

9年前とは全く違う街になってしまいました
時間の流れ方や人々の主観も

2018/10/26 (Fri) 20:42 | EDIT | REPLY |   

星野  

To Say Ogataさん

帰省する度信夫山に登るのですが、フレコンバッグで埋め尽くされた場所がある事すら目に見えても違和感を覚えなくなっている辺りが本気でダメなところまで来ているんだな…と感じました。
今すぐ死ぬわけじゃないけど。直ちに影響があるわけじゃないけど。
なんやかんやで10年20年30年…暫く続く未来というものはあるけれど、それは限りなく負に近い何かなんだろうなぁ、と。
いろいろあって、暫く地元にも帰らないかもしれません。

2018/11/13 (Tue) 05:19 | EDIT | REPLY |   

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