狩りに同行させて頂いた日 2 - The day that accompanied the hunt 2 -
2018
14
前編はこちらから。
後編こちら、人によってはショッキングな写真が幾つも出てきます。ご注意ください。
その日の狩猟は終了し、解体場へと一同は向かった。
そこには既に、血抜きされ吊るされていた鹿の姿が。

計2蹄。
1蹄は、大きな個体が事切れる直前大暴れした際の打撃を激しく受けた為肉の状態が芳しくなかった。
解体の後犬の餌にされる事だろう…。


犬が仕留めた小さな猪も解体が進んでいく。
まずは腹を裂き臓物を取り出す。

それから皮を剥いでいくのだが、猪は何ぶん脂が多い。
こんな小さな個体でさえ、皮の下は驚く程脂っぽい。
ズルズルと刃物が滑り時間がかかるものだ。

鹿の解体も順調に進んでいた。
息絶え時間が経っている為、その軀は冷え切っている。
故に寄り添って来るのが…マダニだ。
暖かな人間の体温、二酸化炭素に反応しモゾモゾモゾモゾ動き出す。
解体作業をする狩人達の服にも容赦無く奴らは攀じ登る。見つけては叩き、落とし、潰し。
自分もマダニに喰われた事があるので、その恐怖たるや。
生きているものを扱うというのは、決して生易しいものではない。

と、ここで別な場所に設置した罠にかかったという猪が運ばれて来た。

軽トラに乗せられ運ばれて来た猪の巨躯たるや。

まずは高圧洗浄で汚れ等を落としていく。

そして腹を裂き、臓物を取り出していく。
分厚い皮、脂肪によりしっかり守られた臓物。

肉を冷やした方がいいと親方が言った。そうすると肉が美味くなる。
空になった軀に冷水を注ぎ込む。

鹿肉の解体もまだ時間が掛かるだろう。

出来る事のない私は一度ログハウスの方へ戻らせて頂く事にした。
調理は好きだが、このような肉を捌ける自信はとてもじゃないがなかったのだ。

暖かなコタツで、朝4時起きだったその身体を休める…。
静かだ。
普段この時間帯は、何をしているだろう…。
平日だったら帰宅中。休日だったら撮影か仕事か勉強か…。
仕事の為に持って来たクロッキー帳も、開く気力が起きなかった。
ぼーっとするだけの時間というものが、きっと私には壊滅的に足りていない。

解体作業を終えた狩人達が戻って来た。
囲炉裏を囲み団らんのひととき。

この日、アナグマの肉というものを初めて食した。

脂は多いものの、その脂がとても美味しい!
肉も品が良く思った以上に食べやすい。もっと獣臭いものかと思っていた。
しかし酸化が早いので、調理したアナグマの肉は早く食べてしまわなければとの事。
この脂でニンニクと一緒に焼き飯を作っても絶対に美味しいだろう…いいなぁいつか食べたいなぁ。

この日獲れた小さな猪の肉。

猪特有の臭みがないのは子供故か。牛肉を食べているようだった。
これも美味しい。自分はこれと言った労働活動をしていないのにしこたま肉を喰らっていた…本当にすみません。

いただきます、という言葉の重みを、狩猟の時間や解体作業を見るとどっしりと感じるのだが、こうして美味しい肉を目の前にしてムシャムシャ食べていると「言葉の重み」というシリアスなものがすっぱりと吹き飛んでしまうかもしれない…。
故に、心に刻み、自分の手で写真に残す事の出来た経験はとても貴重で、有り難いものだ。重みを反芻し思い出す事が改めて出来るのだから。
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