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SATIAN/39 -頽廃放浪記-

廃墟/旧共産圏/未承認国家/国内外の”世界の果て”へ。ヒトノココロノスキマをキリトル頽廃放浪記。

ソビエトの家 - House of Soviets -

2019
19

カリーニングラード
嘗てドイツ領であったロシア飛び地。1946年まで使われていた旧名はケーニヒスベルク、ドイツ語で王の山。20世紀前半まではドイツの東北辺境の重要都市だった。
プロイセン所縁のこの街の中心地に、明らかな“違和感”が存在する。



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ソビエトの家。



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元々ケーニヒスベルク城が建っていたというこの場所に、ソ連政府は社会・共産主義時代の歴史を象徴する建物が必要だと考えた。



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復興可能であったにも関わらず、城は無情にも破壊され1970年ソビエトの家の建設が始まった。中央管理棟として使用する予定だったが建設にあたり問題が生じた。この土地は元々湿地で、地下には遺跡が存在していた為当初予定していた28階建ての建築物は支えきれないという事が判明し21階建ての建築物に変更された。



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地域の党委員会はソビエトの家プロジェクトに興味を失い、資金を使い果たした後開発は1985年に停止した。
そして完成前にソ連崩壊を迎えた……。



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1992年にデンマークの資金で建設を完了しようとする試みがあったが放棄され、建物は何年もの間未完成のまま残された。



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2005年にはプーチン大統領の訪問もあった。カリーニングラードの60周年とケーニヒスベルクの750周年を記念して外装は水色に塗られ窓が設置された。



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しかし内部は未完成で使用不可能のままだ。



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外側だけがご立派で、中は空っぽな洞ろな虚像。虚しいだけのブルータリズム。



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地元でこの建物は「埋められたロボット」と呼ばれているらしい。
外側に出ているのがロボットの頭で、体は地面の中にあるように見えるからだ。
そして「ケーニヒスベルクの呪い」とも。



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ドイツのコンサルタントは、既存の建物を修復して仕上げる事を試みるよりも建物を解体して新しく安くて安全な建物を建てることを勧めた。
ショッピングセンターなどに改修する計画もあったそうだが結局それも白紙となった。現在も無用の長物として、カリーニングラードの一等地に鎮座し続ける虚吼の王だ。



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同時にポートフォリオサイトも更新しました。ご覧くださいませ。





創造された「故郷」: ケーニヒスベルクから
カリーニングラード
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