北オセチア共和国の首都ウラジカフカス 軍事博物館とピョートル・バルバショフ記念碑 - Vladikavkaz, the capital of the Republic of North Ossetia and Memorial Hero of the Soviet Union Peter Barbashov -
2020
25
1月のある夜、私は北オセチア共和国へ入国した。
憧れの北コーカサスへの初めての旅だった。
冬にも関わらず雪の少ないロシア。どうやら世界的暖冬のようだった。
日本でも余りにも雪が降らなすぎてスキー場の営業に影響が出ていた。
北オセチアの首都・ウラジカフカスの空港は小さく、飛行機から降り建物内に入るとすぐに荷物受取所となる。
ベルトコンベアに乱暴に押し流されてくる荷物を回収し、外へ出るとすぐにタクシードライバーに声を掛けられた。
市街地へ向かう公共交通機関はないようであった。親切そうな屈強なオセチア人の男性。
ホテルの名を告げるとすぐに分かってくれた。
車は空港内の敷地ではなく、その外の道路に路上駐車してあった。
モスクワからウラジカフカスへ飛行機で移動した者の多くはその家族が車で迎えに来てくれていた。
彼らもまた同じく路上駐車をしていた。空港内の駐車場は高いのだろうか。
空港から市内駅前のホテルまでは約30分。
建物自体は古いがきちんと整えられており『ソビエト』を感じる落ち着いた雰囲気だった。
ホテル併設のレストランで食事を摂りたかったが、どうやら団体さんが貸し切り状態でパーティーの真っ最中、
大音量でノリノリでカラオケを歌っていらっしゃった。
一同皆珍しい極東亜細亜の民に熱い眼差しを注ぐ。
流石に気まずいのでスーパーで幾つか惣菜を購入し部屋で夕飯を済ませた。

シャワーを浴び日記をしたためその日は早々に床に着いた。
起床後朝食は、昨日カラオケ大会が行われていたレストランでビュッフェスタイル。

蕎麦の実とチーズをたっぷりと。旧ソ連圏の食べ物の中でも好きな食べ物上位ランクに入る。
食事を終えたら雇ったドライバーと共に本日ひとつ目の目的地へと向かう。

ウラジカフカスの主要道路を走っていれば必ず目にするであろう、印象的な記念碑。
シベリア出身のピョートル・バルバショフ軍曹は、第二次世界大戦中北オセチアの仲間の兵士を救う為自らを犠牲にし戦い抜いた。
バルバショフ軍曹は死後ソ連の英雄の称号を授与された。
そして1983年にこの高さ8メートルもの記念碑が造られた。
機関銃を手に、敵の激しい攻撃の最中突撃していく勇ましい記念碑である。

2018年にはバルバショフ・フィールド、戦争博物館を兼ねた記念公園がオープンした。

ロシアと北オセチアの国旗をデザインしたゲートが迎えてくれる。
北オセチアの国旗は同時に、南オセチアの国旗でもある。
「南北に分かれているが、オセチアはひとつだ」
後に向かう南オセチアで、ガイドをしてくれた男性が言った。

第二次世界大戦に関する青空展示場。
コーカサスでの戦いの写真も充実。


重厚な武器類の展示も充実。
尚こちら、軍によって警備及び監視をされている。

敷地内にはソ連軍歌が流れ、濃厚な紅き空気が漂う。

バルバショフ軍曹が指揮する分遣隊の任務はバンカーを破壊する事だった。
彼は自らの身を捧げバンカーの銃眼を塞いだという。
任務は成功を収め、ドイツ軍は30km以上も退却する事となった。
1942年11月の出来事だった。

霜降り息も白い早朝だというのに、自分以外の観光客の姿も見えた事には少々驚いた。
勿論一組み二組みではあったが。

英霊たちに敬意を表し、私は次の目的地へと向かった。
コーカサスの風―My Silk Road
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