アルバニアのてんとう虫まみれの廃工場とトーチカ(バンカー) - The Abandoned Ladybugs Factory and Bunker(Pillbox) in Albania -
2021
10
照りつく太陽の下、灼熱の乾いた大地。
アルバニアという国に初めて訪れた時だった。
目的地の途中に廃鉱山があるという情報を見つけ、折角なので立ち寄る事にした。
しかし。

なんだあの赤い粒々は…。

…てんとう虫だ。

クロム鉱山の遺構であるが、残留する鉱山は微々たる物でしかもてんとう虫のファニーなイラストまみれ。
ちょっと気持ち悪い。可愛いが気持ち悪い。というか硬派でカッコいい建造物になんでこんなものを描くのだ。


色々と諦めの境地に達しながら先を急ぐ事にした。
この日はマケドニアからアルバニアの首都ティラナに向かっており行程は思いの外難航していた。
ある筈の道路がなかったり故に迂回する事になったりオフロードが続いたりしている内に移動時間がズルズルと伸びていく。

まぁ、そんな時もある。
星型の共産主義の香り濃厚なモニュメントだけが私の乾いた心を潤してくれた。
星は国民解放戦争にて戦ったパルチザン、そしてアルバニア労働党の象徴的シンボルである。
そして私の苗字。親近感しか沸かない。(旧共産遺産も是非よしなに)
食事するのも忘れホテルに辿り着いた時は既に夜になっていた。

バスタオルアート!可愛い!

ホテルのレストランは閉まり近隣にレストランもない為手持ちの食糧と水と変なジュースを口にし床に入った。

そして朝になった。
アルバニアの首都ティラナの街を見下ろす。ロケーションとしてはなかなか気持ち良い。

夜に干した洗濯物がすでにそこそこ乾いていた。
この日は旅の途中合流する仲間と待ち合わせの為空港に向かう。
と、その前に是非見たい物があった。

トーチカだ。

アルバニアには、嘗ての国策で大量に作られたトーチカが国全体に大量に残されている。
その数は15万個とも75万個とも言われており、正確な数は記録に残っていない。
首都にも田舎にも辺境にも(アルバニア自体が辺境かもしれないが)何処にでも市民の生活の場にトーチカの存在が食い込んでいるのは何とも奇妙な光景だ。

トーチカとは元々ロシア語(точка)で、掩体壕(バンカー)の一種だ。
鉄筋コンクリート製で、銃眼となる開口部が設けられた小規模の防御施設防で、非常に堅牢な為解体が困難である。
故に戦争が終わった今もその殆どが撤去されずそのままになっている。
コロナ禍が過ぎ去ったら再びこの珍妙な風景を探し求めて旅しても楽しいかもしれない。
9月は灼熱地獄だったので、8月はきっともっと暑いのだろう…もう少し涼しい季節に足を運びたい。
旧共産遺産
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