ロシアに残る太平洋艦隊のミサイル兵器工廠 - Pacific Fleet (Russian Navy) Missile Weapon Storage (Military Architecture) in Russia -
2021
16
太平洋艦隊 。
太平洋上での作戦を目的としたソ連海軍、ロシア海軍の艦隊である。ソ連時代に創設された。
歴史を遡ると帝政ロシア時代の伝統も継承しているがそこは省く。
満州事変に伴う日本軍の脅威の増大によりソ連政府は1932年4月13日に極東海軍を創設、
1935年1月に太平洋艦隊と改名した。
極東各所にその痕跡が未だに残っている。
この某村付近の嘗ての軍事エリアでは潜水艦や艦船用の巡航ミサイルの保管・警備を行っていた。

訪れた時その入り口は開け放たれていた。
軍事基地エリアの更に奥が地元住人の仕事の場となっているらしかった。

そして検問所の様子が、どうも整っているように見えた。

猫だ。
ドアをノックしても誰も出てこない。鍵も掛かっていた。
しかし明らかな人の出入りがある。

とりあえず現段階では見るに差し支えはなさそうだった。

これと言って何が残っている訳ではないと聞いていたが、それでも行ってみたかった。

建物の外観は美しく、一見劇場のように見えなくもない。

モニュメントの背景には結構な壁画があるも、手入れする者もなく荒れるが侭だ。


そして氷点下20度近く。
風は強いが太陽が出ているだけまだ救いがある。
しかし控えめに言って地獄でしかない。何故私はこんな場所へ来てしまったのだろう。
寒い。風が冷たいというか痛い。手が悴む。機材が動かない。チョコレートを囓ろう。

建物の内部は空だ。全てが朽ち果てるのも時間の問題だろう。

どうしたらこのような死に様になるのか。

窓枠にぶら下がった侭揺られる雀の死骸。
天然の冷凍庫の下春の訪れまで腐る事もない。
いや、春が来てもこの乾燥した空気なら綺麗にミイラ化するかもしれない。

ここにおそらくミサイルがあったかと思われる。
ソ連崩壊後1993年に戦略兵器削減条約が締結されると国を挙げての大規模な削減が始まった。
ここも例外ではなく第一次条約の締結と同時に削減が決定されたと思われる。
1995年にアメリカ人が黒いベレー帽をかぶった警備員を伴い施設を視察をしたらしい。
視察後工廠からミサイルの撤去が始まり、そしていつしか警備隊自体も解散した。


それだけだ。

次の目的地を目指し、足早に立ち去った。
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