北マケドニアの小さなスポメニックと大きな廃ホテル - Monument to the Uprising at Debarca and The Abandoned Hotel Europa on Lake Prespa in Macedonia -
2021
14
マケドニアは海に面さない内陸国だ。
しかし長閑で静かで緑がただただに美しい光景が何処までもいつまでも広がっている。
そしてバルカン半島で最も水深の深い湖・オフリド湖と、
ギリシャ、アルバニア、マケドニアの三国にまたがる大プレスパ湖を有している。

オフリド湖を目指す途中、小さなスポメニックに出会った。

このスポメニックはいつ誰が作ったのか一切不明である。
1941年4月に枢軸国によるユーゴスラビア占領後、現在の北マケドニアはアルバニア王国に組み込まれた。
デバルツァ蜂起記念碑はこの地で戦い抜いたパルチザンを記念するものだが、今となっては訪れる者もそういない。

"デバルカ蜂起 "の地に足を踏み入れた。
奴隷となったマケドニアで最初の自由な領土だ。
この丘、山、谷、川を思い出せ。
それらはマケドニアの人々の自由の為の革命の中我々が流した我々の若い血で浸されている。
思い出せ!

ユーゴスラビアの重要な概念である『兄弟愛と統一』を踏まえると、
旧ユーゴスラビアの多くのスポメニックの共通のテーマである高度に様式化された人間の形…
すなわち西マケドニア地域に住む2つの民族、マケドニア人とアルバニア人のうちの1つを表していると推測されるらしい。
いつか謎に包まれたその歴史が解明される事を祈りつつ。先に行こう。

次なる目的地、ホテルヨーロッパ。

宿泊先ではない、廃墟化してしまったホテルだ。

価値のある物は略奪され殆ど何も残ってはいないが、荒廃した共産主義時代の建造物が好きな者にとって
そこはおそらく天国に違いない。






外の方から人の声が聞こえてきた。

湖で遊ぶ複数人の若い男女がいるようだった。
それ以外は何の音もしない。風も吹かぬ静かな日だった。
このホテルが面する大プレスパ湖は、総面積のうち190平方キロがマケドニア領、84.8平方キロがギリシャ領、
38.8平方キロがアルバニア領となっている。
海抜は853mで地殻変動で生じた湖としてはバルカン半島で最高である。
その豊かな生態系から2000年には国境を越えた自然公園が設けられ各国でも計4つの国立公園が出来た。

ここにいると余りの平和さにぼーっとしてしまう。




個人的にはホテルそのものよりも、入り口の手の形をしたゲートの方が好きだったりする。
形的にはスポメニックと言っても納得してしまいそうなデザインをしていると思う。
実に性癖に刺さる。
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