足尾銅山・其の参
水面下に動き出すは、独りの

…阿呆(+壱)
…こっちは違います。
一生懸命登った処で有るのは更地。
皆様ご存じの通り、硫酸工場は解体され、現在はただの更地となっております。

弐千九年弐月、風は冷たく、膝が軋む。
だが、弐千八年壱拾弐月の時のような吹雪もなく、空は至って澄み渡っていたので
探索にはべすとこんでぃしょん・おそら。
(ちなみに壱回目訪れた、弐千八年九月の写真は。
カメラが壊れていて、何も写っていなかったと云う惨劇…嗚呼
ニコンさんのレトロ一眼、まだ修理してない…)

まさか、こんな日が来るとは思っていなかった。
教科書の中だけの歴史のまま、終わると思っていたのに。
その歴史の上を、実際歩き、踏みしめる事になるとは。
だから廃墟に、嵌っていったと云うのも、要因の一つで。

実際、辺りは薄暗く、写真を撮るに差し支えない明るさを感じたのは
此処を出る数分前。
三脚無しで勢いだけで特攻…1600の高感度フィルムは、出来る子です。

…今気がついたけど、友達の肩…?

ざりざり色


強い風により、晒された砂が舞い上がる。
おめめ痛いしぺっぺっぺ。
キィキィ不気味な音を立てて降る錆に。
鼻を刺激する厭なニオイ。
昔何処かで嗅いだような…

無駄に拡大。
粒子じらじら

人の姿は見えないけど、気配に似た、何か、は。

内部はまた今度。
続くのです。
