清越金山/弐
人間、何時だって自分に都合のいい生き物だから。
最初から、望みなどしない。
諦めてしかいないから。
…嘘だけど

清越金山/弐

未だ見せられていない彼女の遺書は、
気をつけなければ見つけられないような土の下にあったと云う

「入り組んだ天井は、今の私の気持ちみたい。
…いいえ、あの子の気持ち、だったのかも」
虚ろな眸は光を潰え、黒髪の艶すら奪い

生を渇望すればする程に乾きを与える
慰めにもならぬ一折りの悔やみの言葉は宙に投げられ
そのまま打ち棄てられるように、地に落ちる

「あの子は、なんて言っていた?」

私に出来たのは、ただただに、首を横に振る事、だけ
一生忘れない、黄昏色の横顔に射す絶望
「どうして私、あの子にもっと愛してると、
伝えられなかったのかしら――――――」

何も出来なかったと悔いる事は、
傲慢だろうか

続きます。
…
全ての答えは、もう、とっくに出ている。
けど、忘れたくない、認めたくない。
この痛み以上に、大切な誰かを愛せれば。
アタイは其れだけで、幸せなんだろうと、思う。
