SATIAN/39 -廃墟の影片-

廃墟/旧ソ連/未承認国家/国内外の”世界の果て”へ。ヒトノココロノスキマをキリトル写真ブログ。

松尾鉱山/群青色のヨヲコ

2009
24
ヨヲコのソプラノは天駆けるマリアだった。
カラスが好きだとヨヲコは言った。
ヨヲコの食べたフォンダンショコラ・ラズベリーソースがけは胸焼けのする味だった。
真っ赤なルージュの端に当たり前のようにじっとりこびりついたチョコレィトを
当たり前のように指で拭い彼の口へと押し込んだ。
イレモノの無い無垢な彼をヨヲコはいつも罵倒した。
そして、いつも優しくエクスタシィへと導いた。





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きなりいろの二ーソックスに星屑瞬く海色のパンプスを響かせ、
ヨヲコはいつも鈴の音のように笑っていた。
ヨヲコは羽根の無い揚羽だった。
に恋い焦がれる群青の風。
瓜ざね顏に絶妙に調和するビィダマのような大きな黒眸で、
いつも白昼夢の上ののような口を叩く。
しかし其れは、いつも真理であった。





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艶やかで長い睫毛はミルモノ全てを絡み捕り離さない。
果つる瞬間ヨヲコは手放す。
厭きたの。
赤い血が何よりも残酷である事を彼女は知っていた。
彼はヨヲコを誰よりも愛していたが、ヨヲコが彼を愛していたかは、誰も知らない。





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六軒町君。
彼をヨヲコは何故かいつも住所で呼んでいた。
ロッケンロッケンロッケンチョウロックンロール。
噛んで碎ける金平糖のように口ずさんだ。
ある日ある時、貴方は今日からロク君。
とヨヲコは言った。
昇格したの。
彼は、曖昧に嬉しそうな、そうでもなさそうな顏をした。





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二人は曖昧な、溶けに溶けない炭酸の中のグレナンデンシロップだった。
互いに交わろうとしなかった。だけど何より、甘かった。
ヨヲコが群青である事を彼が知ったのは、
雪原の一本杉の下首を吊ったヨヲコを見た二週間後だった。
果実は蒼いうちに食べるのよ。
口の端だけでヨヲコはキロキロ笑った。
ヨヲコの違和感のある笑顔が彼は一番、好きだった。
本当のヨヲコを誰も知らない。





matsupo05_5.jpg








続くのね。



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4 Comments

赤い弾丸  

No title

3枚目の弄ばれて捨てられたマネキン、この写真はどストライクですね!

すっごいカッコイイです。うん、カッコいい。
U1さんの抜き方って時折とてつもなく格好良さを感じます。

2009/08/26 (Wed) 00:57 | EDIT | REPLY |   

U1  

Re: No title

ありがとうございまする~。とても恐縮です。
このマネキンちゃんは松尾さん名物(?)でして、様々な方が様々な絵を撮っていらっさいます。おもしろいっす。
しかし何でマネキンがいるんだろう…

2009/08/26 (Wed) 10:46 | EDIT | REPLY |   

赤い弾丸  

No title

追伸

なんか最後の写真って、もやがかってないすか(汗)&(震)?

2009/08/26 (Wed) 22:28 | EDIT | REPLY |   

U1  

No title

うん、もやがかっていますねー。。なんなんだろ。
変な感じはしないので、大丈夫だと思いますよー。

2009/08/27 (Thu) 10:17 | EDIT | REPLY |   

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