FC2ブログ

SATIAN/39 -頽廃放浪記-

廃墟/旧共産圏/未承認国家/国内外の”世界の果て”へ。ヒトノココロノスキマをキリトル頽廃放浪記。

松尾鉱山/続・群青色のヨヲコ

2009
25
ヨヲコは誰のものでもない。
ヨヲコの存在そのものが、トロンプ・ルイユかもしれない。
生前ヨヲコはハッカシロップと白クローバーの蜂蜜に炭酸を注ぎ、
そこに氷を入れとミントを添えたものを、よく好んで作っていた。
弾けて消える清涼な沫は、ヨヲコの持つ透明感のようだった。





matsupo05_11.jpg





思い返せばヨヲコの爪はいつも星瞬く群青に塗りあげられていた。
好きなの?
うん、泳げないだからね。
抑揚も無くヨヲコは答えた。





matsupo05_12.jpg





何気なく横目で覗いたヨヲコの大学ノートは、彼女曰く「秘して華と為った」友人を
揶揄したキリル混じりの叙事的な詩で、埋め尽くされていた。
唐突に気紛れにヨヲコは話しをした。
友人の人生。友人との関係。友人の最期。友人の。
初めて聞いた、ヨヲコ自身に関わる話しだった。
ロク君。わたし嘘つきなの。
だからロク君、わたしを嫌いになって。
最後に躯を交えた時、ヨヲコはそう呟き、泣いた。





matsupo05_13.jpg





詩で綴られた友人の揶揄は、全てヨヲコの生まれ果つるまでの人生そのものだった。
深い深い群青の闇。
彼女は飛び立てない鳥だった。
誰よりも自由であるはずの彼女は誰よりも不自由な女神だった。
僕とヨヲコは、最後まで恋人同士にはなれなかった。





matsupo05_14.jpg





一生片想い同士の関係って、素敵よね。
一生、その人を追いかけ続られるじゃない。
両想いは、いつか必ず、終わってしまうから。
ヨヲコは、あの時だけ、頬を赤らめ弾けるように、そして初めて僕から目を逸らし、
笑った。
ような、気がする。





matsupo05_15.jpg








ブログランキング・にほんブログ村へ
スポンサーサイト



 ヨヲコちゃん 廃墟 廃鉱山 天国ににばんめに近い場所 松尾鉱山 天空の扉 廃アパート フィルム カラーフィルム

4 Comments

赤い弾丸  

No title

ここは標高が高いんですかね?なんかそういう印象を受ける。

しかしここの退廃感はすんごいすね。朽ち方がなんつーか・・どーーーんって(笑)

2009/08/26 (Wed) 22:25 | EDIT | REPLY |   

U1  

No title

標高は1000mだったかな、高いところにあります。雲上の楽園と云う異名を持つ廃墟です。
5月なのに、来る途中の道が雪の壁でどかーんと挟まれていて吃驚しましたよ。
まさに退廃の美の象徴のような廃墟です。素晴らしい。

2009/08/27 (Thu) 10:19 | EDIT | REPLY |   

ヨウスケ  

ども、写美の残党、ヨウスケです(笑)

松尾の写真、素晴らしいですね!
こんな立派な廃墟、
なかなか滅多にお目にかかれない物件ですよね。
ジブンもいつかは…
思うばかりで実現はまだまだだな、という感じ。

こちらで目の保養させていただきます!

最近写真専用ブログ立ち上げました。
超お暇なときにでも寄っていただければ幸いです!

2009/08/27 (Thu) 13:37 | EDIT | REPLY |   

U1  

Re: タイトルなし

こんにちは~。お久しぶりです。
写真専用ブログ、開設おめでとうございます!
写真きれいですねー。廃墟と自分との距離を、きちんと自らの足で取っている感じの写真で好きですよ。ちょくちょく覗かせて頂きます♪


ありがとうございます。松尾さんは、本当に素晴らしい廃墟さんです。
最近はすっかり観光地化していると云う話しを至るところで聞くので、監視や警備等がどんどん厳しくなってしまわないか、心配です。
いつか是非、行ってみてください…!

どうぞごゆっくり、当方で廃墟に浸かっていてくださいませー。

2009/08/27 (Thu) 14:58 | EDIT | REPLY |   

Add your comment